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※本コラムは、新型コロナウイルスが5類に引き下げられる前の対応について記載しております。令和5年5月8日から5類に移行されたことにより、廃止された補助金や、取り扱いが異なる部分もございますので、ご注意ください。
今回はお問い合わせの多かった、『新型コロナウイルス感染に関わる休業の取扱いについて』、というテーマでお話してみたいと思います。
労働者が「労務」を提供していない場合、つまり働いていない場合、使用者はその部分についての賃金を支払う義務は発生しません。まずはこのノーワーク・ノーペイ、働いていない(休んでいる)のに賃金を支払う必要はない、という大原則があります。ここで問題となるのは、その働いていない(休んでいる)理由です。
従業員が自分の意思で休んでいるのであれば問題になりません。問題となるのは本人の意思によらず(意思に反して)、指示により休んでいる場合や、状況から休まざるを得ない場合などです。
従業員本人が感染した場合に限らず、濃厚接触者になった場合や、家族に感染者が出た場合、感染したかどうか不明だが体調が悪い等、様々な場面が考えられますので、ケースごとにご紹介して参ります。
なお、話があちこちに飛ぶと、反ってポイントが分かり難くなってしまうため、テレワークでの対応方法や労災の待機期間中の休業手当の必要性などの細かい説明は省略いたします。
普段通りの仕事ができる(労務を提供できる)状態にないので、会社に賃金の支払義務はありません。その代わり傷病手当金(業務に起因すれば労災休業給付)の対象となります。
なお、医療従事者の方やスーパーの店員さん等、業務上感染の可能性が高い業種の方については、労災の認定要件が緩和されており、業務起因性ありとして、労災が認められ易くなっています。また、そのような取扱いをする旨の行政通達も出ています。
ここでいう濃厚接触者とは、保健所やその他行政機関から濃厚接触者として自宅待機等を指示された方のことです。行政機関からの命令である以上、不可抗力であり、会社が休ませている訳ではありませんので、法律上の支払義務は生じません。
ただ、業務上(事業所内の他の感染者等)の濃厚接触者となった場合については、法律上の支払義務はないとはいえ、欠勤や年次有給休暇として処理するのは、少し酷な気もしますので、社内で話し合って対応を決めてください。
また、お子様などが感染したため濃厚接触者となった場合には、下記の「小学校休業等対応助成金」や「介護休業給付金」を申請できる可能性があります。
いずれにしても、国の政策により自宅待機とされている濃厚接触者に対し、現在直接的な国からの支援は相変わらず行われておりません。待機期間が以前に比べればだいぶ短くなったとはいえ、早急の改善が望まれます。
(1)小学校休業等対応助成金・支援金制度を活用する
➀コロナに感染した子の世話をするため、②風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子の世話をするため、③新型コロナウイルス感染症への対応として臨時休業等をした小学校等に通う子の世話をするために、会社を休む必要がある社員に対し、年次有給休暇とは別に有給の特別休暇を与えた場合に、一定額が国から助成される制度です。
活用・申請は会社の義務ではなく任意ですが、会社が申請してくれない場合、従業員が国に直接申請することもできます。
(2)介護休業として取り扱う
感染した家族の世話のため会社を休む場合、一定要件の下ご本人の申し出により、雇用保険の介護休業給付金を利用することもできます。支給額は傷病手当金とほぼ同程度ですが、子以外の家族の世話でも使え、また同居も要件になっていない(実家の母の世話等でも可能)ため、あまり知られていませんが、要件に該当すれば使い勝手は良いです。
ただ、悪いことではありませんが、法律上の権利とはいえ、これが広く周知されると、世の中の今後の感染状況によっては次から次へと介護休業希望者が出てくる可能性もあります。(この記載も怒られるかな…)
なお、両立支援等助成金・介護離職防止支援コース「新型コロナウイルス感染症対応特例」で対応することもでき、厚生労働省は推奨していますが、申請手続がやや面倒なうえ、年次有給休暇とは別に新型コロナウイルス感染症への対応として利用できる介護のための有給の休暇制度を会社として設け、それを社員に周知することが要件となっていますので、この助成金がなくなった後も、助成金が終わったから会社もこの休暇制度をやめるということは、原則としてできません。
【ちょっと心配があります】
小学校休業等対応助成金・支援金は、実は昨年からあったものですが、いったん別の助成金に移行され、この9月(8月休業から使えるようです)から再開されました。あまり知られていませんが、小学校休業等対応助成金・支援金は、雇用調整助成金に対する休業支援金・給付金と同様に、会社が認めてくれない場合、従業員本人による直接の申請ができます。
実はこれが結構大きな問題になるような気がします。助成金があるからといって、この制度を使う(特別休暇を与える)かどうかは、もちろん会社の任意です。しかし、自分で申請して支援金をもらえるなら、積極的に(必ずしも休みをとる必要がない場合でも)休もうという方が出てくるかも知れません。
また、仮に労働者が直接申請する場合、給与明細とタイムカード等のコピーを添付して、賃金が休業日数分欠勤控除されているかどうか確認されます。欠勤控除されているからこそ、そこに支援金が支給される訳です。つまり、その欠勤について年次有給休暇として処理されていると、支援金の対象外ということになります。(年休は本人が申請して取得するものであるはずだからです。)会社が申請する場合は、欠勤や年休として処理していたものを、改めて事後的に特別休暇に切り替えた場合でも、当助成金を申請できると発表されていますが、労働者個人が直接申請する場合は、年休分として支給されていた賃金を会社に返還しなければならないなど、面倒な手続が必要になります。
お休みした日を会社が安易に年休処理してしまうと、後からこの支援金を知った従業員の方と、「そんなこと会社に教えてもらっていない」、「それなら有休なんかとらなかった」、といったトラブルになりはしないかと心配しています。(そのような事態を回避するためには、会社が事前にきちんと説明する必要が生じる訳ですが、それならそもそも会社でこの制度を使って特別休暇にして欲しいと言われれば、返答し難い…。)
ただし、本助成金は「働けるのに会社都合で休ませた」という従業員の方(会社都合休業者)が対象ですので、待機中のPCR検査で陽性が判明した方や、著しい体調不良者(感染が疑われた方)は、働ける状態であったとはいえませんので申請できません。その方たちには休業手当を支給せず、雇用調整助成金とは別に、健康保険の傷病手当金や労災の休業補償給付を申請することになります。
いかがでしょうか。
まずは、お問い合わせください。